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第4回日本乳癌学会中部地方会 セミナー(2日目)


モーニングセミナー

患者の常識、医者の非常識 ―よりよい患者への情報提供とは―


日 時:平成19年9月9日(日) 8時30分〜10時00分
会 場:A会場(224会議室)

司 会:岩瀬 克己(藤田保健衛生大学 内分泌外科)

1.ショートレクチャー(8時30分〜9時)
「医療紛争から見た患者の心,医者の心」
演 者:中村 勝己(弁護士)

2.パネルディスカッション(9時〜10時)
「インフォームドコンセントの秘訣:ケーススタディーを含めて」
パネリスト 岩田 広治(愛知県がんセンター中央病院 乳腺外科)
笠原 善郎(福井県済生会病院 外科)
小森 康永(愛知県がんセンター中央病院 精神腫瘍診療科)
アドバイザー 中村 勝己

3.総括
 三浦 重人(総合上飯田第一病院



共 催:アストラゼネカ株式会社





医療紛争から見た患者の心,医者の心  弁護士  中村 勝己

医師の注意義務
医師に求められている注意義務の基準となるのは、診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準です。医療水準は、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできないと指摘されています。

他の医師と同レベルの医療であっても過失と評価されることがあります。医師の注意義務の基準を、「少し頑張って可能基準」と表現されたこともあります。裁判官や弁護士に求められる注意義務と比較しても、医師に求められる注意義務は過酷です。

患者の認識と医師の認識
医学教科書は、医療水準を超える高度な内容の診療も含まれています。しかし、患者側は「教科書に記載されていることさえも実践していない。」と評価するのが通常です。EBMやガイドラインも、専門医向けなのか一般医向けなのか判断に迷うものも多数ありますが、一般医に対しても「ガイドラインに沿った治療ではない。」と主張されることは多々あります。

患者さんは、平均的な医療ではなく最善の医療を期待しています。80点の医療は、+80点ではなく、−20点の医療と評価されます。合併症が5%(1/20)の割合で起こると説明されていたとしても、自分がその5%に入ってしまった場合には、容易に納得できるものではありません。

医療分野でもCS(Customer Satisfaction)と言われていますが、何がSatisfactionなのかという点が問われる時期に来ているように思います。際限のないSatisfactionに応えられるだけの医療を実践することは不可能であるように思います。医師と患者がどこで、折り合いをつけるか・・という点が問われているように思います。

 


ランチョンセミナー

よくわかるホルモン療法

日 時:平成19年9月9日(土) 12時00分〜13時00分

会 場:B会場(222, 223会議室)

座 長:小林 俊三(名古屋市立大学病院 乳腺内分泌外科)

演 者:渡辺 享(医療法人圭友会 浜松オンコロジーセンター

共 催:ノバルティスファーマ株式会社






教育セミナー

乳癌の画像診断とその応用

日 時:平成19年9月9日(日) 13時10分〜15時10分

会 場:A会場(224会議室)

座 長: 内海 俊明(藤田保健衛生大学 乳腺外科)

1.乳腺の診断(マンモグラフィ・乳腺超音波検査)
演 者:窪田 智行(総合上飯田第一病院 乳腺外科)

2.乳腺のMRI/CTそしてsecond-look US
演 者:佐竹 弘子(名古屋大学医学部附属病院 放射線科)

3.乳腺疾患の診療システムにおける画像ガイド下インターベンションについて
演 者:水谷 三浩(愛知県がんセンター愛知病院 乳腺科)

 

乳腺の診断(マンモグラフィ・乳腺超音波検査)
総合上飯田第一病院 乳腺外科 窪田智行
日本における乳癌発生の著しい増加のみられる中で乳癌死亡の抑制のためには、乳癌検診の充実、さらには早期乳癌を見つける診断能力が求められている。

乳癌画像診断の基本としてマンモグラフィ及びに乳腺超音波検査は、欠かす事のできない検査であり、医師としての診断読影能力を高める必要がある。現在、マンモグラフィにおいてはマンモグラフィガイドライン(医学書院)が、乳腺超音波検査は乳房超音波診断ガイドライン(南江堂)が発刊され用語・診断の標準化が図られ、また、講習会を通して教育活動も行われている。

今セミナーではマンモグラフィ・乳腺超音波検査の基礎およびガイドラインを基にした用語の解説を行う。


乳腺のMRI/CTそしてsecond-look US
名古屋大学医学部附属病院 放射線科 佐竹弘子
乳房温存術の普及に伴い、ここ10年で乳癌に対してMRIやCTを行うことは日常的になっている。

MRIは優れた濃度分解能を、CTは優れた空間分解能を有すが、それぞれの機器の進歩は目覚しく、当初に比べ応用性は拡大してきている。

今一度、各モダリティの特性を見直し、今後の乳腺画像診断における役割を整理し検討したい。また、当院においてはこれらMRI/CT画像を参照にしてsecond-look USを行う際にReal-virtual sonography(RVS)を用いている。

MRI/CT偶発病変や偽陽性病変のsecond-look US像、スクリーニングUSでは視認できなかった病変のsecond-look US像について検証し紹介したい。


乳腺疾患の診療システムにおける画像ガイド下インターベンションについて
愛知県がんセンター愛知病院 乳腺科 水谷三浩、香川力、安藤由明
近年、様々なマスメディアを介して乳がんに関する豊富な知識が一般大衆へ流布されている。また高精度の画像診断を導入した乳がん検診も広く普及しつつある。

その成果として、非触知の微細石灰化の集簇像や腫瘤像非形成性病変(構築の乱れなど)を呈する症例の発見が急増している。これらには乳頭状病変(特に非浸潤性乳管がん)が多数含まれることから、確定診断に難渋し組織診断までを要する例もけっして少なくない。

乳がんの早期診断のため、さらには確定診断の難しい良性疾患への過剰診療を防ぐためにも、精緻かつ低侵襲の診断(画像検査および細胞診・針生検などのインターベンション)から適切な縮小手術に到る診療システムの構築が不可欠であり、症例毎にその実践が求められている。

今回のセミナーでは、診療システムにおいて確定診断法として重大役割を担う画像ガイド下インターベンションについて吸引式組織生検法(マンモトームR)を中心に詳述する。
 

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