会長挨拶

このたび、第11回日本難病医療ネットワーク学会学術集会を開催させていただくことになりました。大会長を拝命し、大変、光栄に存じます。

さて本大会のスローガンは「難病医療ネットワークの新たな時代、新たな挑戦」といたしました。2004年に設立された日本難病医療ネットワーク研究会が基盤となり、職種や所属の枠を超えて、広く難病の課題を検討し、医療とケア体制の向上を図ることを目的に、2013年に研究会を発展的に解消させ、日本難病医療ネットワーク学会が設立されたわけですが、いよいよ新しいステージに入り、全学会員が連携して新たな挑戦を始めることを高らかに謳いたいと考えたためです。

新たな挑戦としては、何と言っても「学会の法人化」があります。法人化ワーキンググループが準備を行ってまいりましたが、理事長講演では法人化を含め、これから学会の目指すことについてご講演を賜ります。また大会長講演では、難病における倫理的問題を議論いたします。さらに特別講演では、「治療と仕事の両立支援」に関して先端の取り組みをご紹介いただきます。

当学会が取り組むべき課題には、新しい看護・介護(専門ナース、治療と暮らしの営みの両立、在宅介護など)、新しいリハビリ(ニューロリハビリ、摂食嚥下リハ、コミュニケーション支援など)、行政との協働、成人神経難病以外の難病や移行医療等が含まれます。これらについては、「難病医療の最前線」「基礎から学ぶ難病医療」、そして各種シンポジウムで取り上げます。とくに「基礎から学ぶ難病医療」では、多職種から構成される学会員が、それぞれの領域の現状と課題を「共有」することを目指して、基礎から学ぶ機会を提供したいと考えました。「共有」がキーワードとして重要と考え、並行するセッション数を抑えたのも特徴です。

一方、シンポジウムでは、移行医療、在宅介護、難病コーディネーターに関して深く議論していただきたいと考えました。また難病看護学会との合同シンポジウム、および中井三智子副大会長による「難病児の自立/ 自律を支援するための多職種の協働」も企画しました。さらにコミュニケーションワークショップでは、小児へのアプローチを行います。以上のように充実したプログラムになりました。

多職種からなる多くの学会員が集い、熱く議論し、前述の目的、すなわち「職種や所属の枠を超えて、広く難病の課題を検討し、医療とケア体制の向上を図ること」の実現を目指す会にしたいと思います。みなさんに名古屋でお目にかかることを心待ちにいたしております。

岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 教授
下畑 享良